Program / Report
開催案内と報告
開催案内と報告
第43回イブニングセミナー「加速する超電導リニア 」 (2025/02/06)
日 時:2025年 2月 6日(木) 15:00 -17:10
会 場:オンライン開催(Webex)
テーマ:『加速する超電導リニア』
*講演資料の配布、録画の公開はおこないません。
プログラム (PDFはこちら)
15:00~15:05 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授
熊田 亜紀子
15:05~15:45 超電導リニアと中央新幹線
東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線推進本部 リニア開発本部 担当部長
北野 淳一 氏
15:45~16:25 超電導リニアの走行試験装置
東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線推進本部 リニア開発本部 担当部長
村井 敏昭 氏
16:25~17:05 超電導リニアにおける非接触給電の開発状況
東海旅客鉄道株式会社 中央新幹線推進本部 リニア開発本部 副長
山本 圭介 氏
17:05~17:10 今後のご案内
参加者 378名
概要
第43回APETイブニングセミナーのテーマは『加速する超電導リニア』としました。
現在JR東海が中心となり建設を進めているリニア中央新幹線は、最高設計速度505km/hというその速さ・利便性のみならず、災害時のリスク分散、経済効果・地域活性化、環境負荷の低減など日本の経済やインフラに大きなメリットをもたらすと考えられており、技術的に高度な挑戦を伴いながらも着実に進行中です。
このリニア中央新幹線の走行は、超電導電磁誘導方式という磁気浮上で行われますが、この技術は、1960年代の初期構想から、1997年の山梨実験線での成功、2015年には時速603km/hの世界最高速度を記録するなど、着実に開発改良・実証が進められてきた日本独自の技術です。
当日はその超電導リニアについて、実際に開発に携わってこられた技術者の皆様に、これまでの経緯や最新の状況などについてお話を伺いました。
ご講演は、東海旅客鉄道・北野氏より、超電導リニアの浮上や推進の原理や構成要素の諸元、開発の歴史、開発の意義について、具体的な数値を多く用いられながらお話いただき、同社・村井氏より、超電導リニア用試験装置の目的・評価項目と意義、装置の概要と主な成果について、実際の試験の様子を動画で示されながら分かりやすくご紹介いただき、同社・山本氏より、超電導リニアにおける誘導集電(非接触給電)システムについて、長大一次ループ回路の電気的定数(インダクタンス、キャパシタンス)の考え方と近似手法、等価回路と求められる周波数特性、過渡応答特性など、多くの数式を示されつつ詳しく解説いただきました。
本講演会のためにかなり踏み込んだお話をいただいたように感じられ、参加された皆様からも今までにないほど多くのご質問、ご感想をいただくなど、本件への関心の高さに驚かされました。
東海旅客鉄道株式会社殿に深く御礼申し上げます。
第42回イブニングセミナー「期待される産業用ヒートポンプ 」 (2024/11/06)
日 時:2024年11月 6日(金) 15:00 - 16:50
会 場:オンライン開催(Webex)
テーマ:『期待される産業用ヒートポンプ』
プログラム (PDFはこちら)
15:00~15:05 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 教授
馬場 旬平
15:05~15:45 産業用ヒートポンプの現状と普及に向けた課題
電力中央研究所 グリッドイノベーション研究本部
ENIC研究部門 主任研究員
甲斐田 武延 氏
15:45~16:15 200℃まで昇温可能な産業用高効率高温ヒートポンプの開発
前川製作所 技術企画本部 執行役員
町田 明登 氏
16:15~16:45 産業用ヒートポンプシミュレータによる導入効果の解析技術
前川製作所 技術企画本部 技術研究所
熱システム技術グループ 課長補佐
渕上 英紀 氏
16:45~16:50 今後のご案内
参加者 166名
概 要
第42回APETイブニングセミナーのテーマは『期待される産業用ヒートポンプ』です。
産業用ヒートポンプは脱炭素、省エネの切り札とされ、適用拡大や高効率化、新しい冷媒の採用などの技術開発が精力的に進められていますが、一方で、その導入にはいくつか課題があることから、すぐに広く普及することは難しい、という問題もあるようです。そこで本日はそんな産業用ヒートポンプについて、その現状と普及に向けた課題と方策、また技術開発の最前線について、第一人者の皆様からお話を伺いました。
ご講演は、電力中央研究所・甲斐田氏より、産業用ヒートポンプの現状として当該技術の動向と導入状況、適用温度帯、国ごとにエネルギーコストが異なることによる要求COPなどについて、また普及に向けた課題として、経済的ポテンシャルの拡大や無駄のない効率を重視した設計とその担い手の育成について、普及に向けて求められるアクションとして、エネルギー価格(≒賦課金)のリバランシングの考量、プロセスレベルでのヒートポンプの統合を可能とする産官学の貢献の必要、という提言いただき、前川製作所・町田氏からは、同社がリリースする2種類(蒸気生成と熱媒油・熱風生成)のヒートポンプと、さらなる大温度差ヒートポンプの開発の背景と狙い、開発に成功した世界最高加熱温度・最高効率の200℃まで昇温可能な産業用ヒートポンプの仕様や要点について紹介、解説いただき、同社の渕上氏からは、産業用ヒートポンプシミュレータを開発した背景と、開発された、ボイラ等をヒートポンプに置き換えた場合の効果を試算できる単体シミュレーター、プロセス全体での性能、経済、環境面の具体的な分析が可能となる統合シミュレーターについて紹介いただきました。
熱の需要と熱源(廃熱)が発生する場所・量・時間のミスマッチによりヒートポンプの導入が成り立たない場合もあり、それを解析し解決するためにはシミュレータが必須であることを教えていただきました。
質疑応答も活発に行われ。大変有意義な講演会となりました。今後とも本テーマについて注目して参ります。
第41回イブニングセミナー「サーキュラーエコノミーとその技術 」 (2024/07/26)
日 時:2024年7月26日(金) 16:30~19:00
会 場:オンライン開催(Webex)
テーマ:『サーキュラーエコノミーとその技術 』
プログラム(PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授
熊田 亜紀子
16:35~17:05 サーキュラーエコノミー実現のための循環エコシステム設計
東京大学 大学院工学系研究科 精密工学専攻 准教授
木下 裕介 氏
17:05~18:15 SUREコンソーシアムを核にした都市鉱山技術開発の取り組み
産業技術総合研究所 首席研究員
SURE※ コンソーシアム 会長 ※:Strategic Urban mining REsearch base
大木 達也 氏
18:15~18:55 住友化学の炭素資源循環の取り組み ―ケミカルリサイクルを中心に―
住友化学株式会社 炭素資源循環事業化推進室 部長
野末 佳伸 氏
18:55~19:00 今後のご案内
参加者 183名
概 要
第41回APETイブニングセミナーのテーマは『サーキュラーエコノミーとその技術』です。
サーキュラーエコノミ―については、日本でも、2000年に法律(循環型社会形成推進基本法)のなかで循環型社会の定義がなされるなど、早くから環境問題の一部として認識されてきましたが、近年では、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動の一環として捉える、という流れが欧州を中心に進んでいます。脱炭素同様、規制にもビジネスにもなるテーマであると考えられます。
そしてこのサーキュラーエコノミ―は、効果は明らかなものの、資源循環のサイクルも処理をする部材の構成も多様であることなど、普及に向けた課題は多くあり、解決への取り組みが鋭意進められているところです。
そこで本講演会では、今注目のサーキュラーエコノミ―について、全体の概要、およびマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルといった技術の最前線について、第一人者の皆様からお話を伺うこととしました。
ご講演は、東京大学・木下氏より、先行する欧州の関連政策・規則や、対する日本の状況、サーキュラーエコノミービジネスに係る課題とそれらを解決に導くご自身の研究成果、今後の産官学の取り組むべきことについて、産業技術総合研究所・大木氏より、長年リサイクル技術を先導されたご経験から、マテリアルリサイクルの困難さとその所以、資源循環ループに関わる全部門の一層の善処が不可欠であること、コンソーシアム設立の趣旨などについて、住友化学・野末氏より、リサイクルプロセスに適したプラスチック廃棄物資源確保の重要性、同社の取り組む廃プラスチックを起点
とした様々な物質への変換技術の開発動向、資源循環の影響(課題)などについて説明いただきました。
イメージが先行するサーキュラーエコノミーの本質を伺い知ることができる大変有意義な内容となりました。参加者の皆様がリサイクルプロセスの一員として、廃棄に対する考え方を深める、改めるきっかけとなれば幸いです。
今後とも本テーマについて注目して参ります。
第40回イブニングセミナー「さまざまなネガティブエミッション技術」 (2024/02/07)
日 時:2024年2月7日(水) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テーマ:『さまざまなネガティブエミッション技術』
プログラム(PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
熊田 亜紀子
16:35~17:15 ネガティブエミッション技術と風化促進
新エネルギー・産業技術総合開発機構
環境・化学ユニット(ユニット長)
中村 勉 氏
17:15~17:55 陸域バイオマス・ネガティブエミッション技術(森林、農地)
17:55~18:35 海域バイオマス・ネガティブエミッション技術(海洋)
科学技術振興機構 研究開発戦略センター
徳永 友花 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 219名
概 要
第40回APETイブニングセミナーのテーマは『さまざまなネガティブエミッション技術』です。
現在、世界各国、産官学総動員で脱炭素社会の実現に向けた取り組みがなされていますが、製造業、農業、運輸の一部で脱炭素が難しいとされる分野も存在するため、ネガティブエミッション技術は不可欠であると考えられます。
ネガティブエミッション技術にも複数ありますが、そのうちのDACCS(大気中のCO2を直接回収し貯留する技術)やBECCS(バイオマスの燃焼により発生したCO2を回収・貯留する技術)については、徐々に企業による実装のニュースを目にするようになってきた一方で、自然の力を利用したバイオマス・ネガティブエミッションについては、その基本原理はおぼろげながら想像できるものの、具体的な取り組みなど未知な部分が多いのではないかと考え、今回はこのバイオマス・ネガティブエミッション技術をテーマに取り上げ、専門家の方々からお話を伺うこととしました。
ご講演は、新エネルギー・産業技術総合開発機構・中村氏より、気候変動問題を取り巻く状況や限界削減コストに関する見通し、風化促進を中心にネガティブエミッション技術、各国の政策動向と今後の展望等について、科学技術振興機構・徳永氏より、陸域と海域のバイオマス・ネガティブエミッション技術の概要、国内外の動向、各施策の費用と緩和効果(海域)、具体的な研究開発と課題、今後の方向性と提言等について説明いただきました。
バイオマスの元々のCO2吸収・分解排出フロー量が膨大であることから、炭素循環・動態の詳細機構を解明し、吸収フローの増加あるいは排出フローの抑制を人的制御することにより、炭素ストック増加量の大幅拡大が期待できるというお話もあり、脱炭素の救世主となりうるバイオマス・ネガティブエミッション技術の大いなる可能性を感じることができた大変有意義な内容となりました。
今後とも本テーマについて注目して参ります。
第39回イブニングセミナー「さまざまな蓄電技術」 (2023/10/27)
日 時:2023年10月27日(金) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テ ー マ :『さまざまな蓄電技術 』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
熊田 亜紀子
16:35~17:15 重力蓄電システムの概要と実証への取組
東芝三菱電機産業システム株式会社
産業第三システム事業部 再生可能 エネルギー 事業開発プロジェクト
海老沢 優弥 氏
17:15~17:55 鉄道用超電導フライホイール蓄電システムの開発と実証試験
東日本旅客鉄道株式会社
JR東日本研究開発センター 環境技術研究所
西 健太郎 氏
17:55~18:35 圧縮空気エネルギー貯蔵システムの概要と展望
エネルギー総合工学研究所
プロジェクト試験研究部・新エネルギーグループ
川村 太郎 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 297名
概 要
第39回APETイブニングセミナーのテーマは『さまざまな蓄電技術』です。
再生可能エネルギー、特に太陽光や風力の電気を余すことなく使うためには蓄電設備が必要であることは明らかです。
世の中においても蓄電池については、蓄電池「人材」育成の取り組みが(IT人材や半導体人材などと同様に)始まり、蓄電池ビジネスという言葉も世間一般で聞かれるようになってきて、EVの普及に向けたインフラ拡充の議論も進んでいます。
しかしながら再生可能エネルギーを主力電源にするとなると、大量の蓄電設備が必要になるとされており、蓄電池はサプライチェーンにおける課題などもあります。
これらを踏まえると、蓄電技術の多様化、電池以外の技術開発にも注目する必要があると考え、本イブニングセミナーでは、電池以外の3つの蓄電技術をご紹介することと致しました。
ご講演は、東芝三菱電機産業システム・海老沢氏より重力蓄電システムのメカニズムや方式、実証の状況や課題について、東日本旅客鉄道株式会社・西氏より鉄道用超電導フライホイール蓄電システムの開発の背景や目的、試験設備の概要や実証の状況について、エネルギー総合工学研究所・川村氏より圧縮空気エネルギー貯蔵に加え、液化空気エネルギー貯蔵の技術、方式と事例について解説をいただきました。
当日多くの方々が参加されたことからも、本テーマへの注目度の高さが伺えるとともに、各テーマ活発に質疑応答が行われ。大変有意義な内容となりました。
今後とも本テーマについて注目して参ります。
第38回イブニングセミナー「電力・エネルギーシステムへの異分野研究の適用」 (2023/1/27)
日 時:2023年 1月27日(金) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テ ー マ :『電力・エネルギーシステムへの異分野研究の適用 』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
熊田 亜紀子
16:35~17:15 建築のエネルギー需要と人々のエネルギー消費行動
九州大学 大学院総合理工学研究院
Internationalization and Future Conception部門 教授
萩島 理 氏
17:15~17:55 ファイナンスにおけるリスク評価手法の電力・エネルギー分野への適用
~リスクを考慮した事業投資価値評価法を中心に~
名古屋市立大学 大学院経済学研究科 教授
三澤 哲也 氏
17:55~18:35 多目的最適化に基づく電力・エネルギーシステムにおける意思決定
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 助教
関崎 真也 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 201名
概 要
第38回APETイブニングセミナーのテーマは『電力・エネルギーシステムへの異分野研究の適用』です。
現在顕在化している地球温暖化など大きな社会課題は、単一の学問分野での解決が難しく、学問横断的に知識を結集して解決に当たることが必要不可欠とされています。また経済発展に不可欠とされる技術革新は、これまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって創造される新たな価値であると理解されているところです。このように、現在地から異(他)分野の研究・取り組みに目配りすることはとても重要な過程であると考え、第38回イブニングセミナーでは、不確実性が増している巨大で複雑な電力・エネルギーシステムへのアプローチに有効と考えられる異分野研究についてご紹介することと致しました。
ご講演は、九州大学・萩島氏より建築部門の観点から、集合住宅の多数住戸の電力データの分析や居住者の電力消費行動 (特にエアコン)とその背景について、名古屋市立大学・三澤氏より金融工学の観点から、リスクを考慮した事業投資価値評価と電力システムの供給信頼度指標への応用について、広島大学・関崎氏よりオペレーションズ・リサーチの観点から、意思決定に関する基礎及び電力・エネルギーシステムにおける意思決定とその展望について、ご考察の紹介をいただきました。
かなり高度な内容となりましたが、当日は多くの方々が参加され、各テーマとも活発に質疑応答が行われました。脳も鍛えられ大変有意義な内容となりました。
第37回イブニングセミナー「洋上風力の周辺技術 」 (2022/10/12)
日 時:2022年10月12日(月) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テ ー マ :『洋上風力の周辺技術 』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
熊田 亜紀子
16:35~17:15 浮体式洋上風況観測システムの開発
一般財団法人 日本気象協会 環境・エネルギー事業部 専任主任技師
大西 健二 氏
17:15~17:55 洋上風力の大量導入に向けた最新ケーブル技術
住友電気工業株式会社 電力プロジェクト事業部 技師長
真山 修二 氏
17:55~18:35 多用途多端子直流送電システムの基盤技術開発
東京電力ホールディングス株式会社 経営技術戦略研究所
技術開発部 次世代電力インフラエリア 主任研究員
太田 文彦 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 377名
概 要
第37回APETイブニングセミナーのテーマは『洋上風力の周辺技術』です。
洋上風力は日本のエネルギー政策の方針をまとめた第6次エネルギー基本計画で、「大量導入やコスト低減が可能であるとともに、経済波及効果が大きいことから、再生可能エネルギー主力電源化の切り札として推進していくことが必要」とされており、最近では、建設拠点となる基地港湾の指定に関する自治体へのヒアリングや、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定、海底直流送電の早期具体化を目指したファイナンス面の整備等課題への検討の開始など、条件整備が着々と進んでいます。
今回、主力電源として大きな期待のかかる洋上風力のうち、その要素技術(電気関連)について概観すべく、日本気象協会・大西健二氏から浮体式洋上風況観測システムの開発コンセプトや技術的背景、実証実験の概要と成果、今後の展望について、住友電気工業・真山修二氏から最新のケーブル/施工の技術や、長距離交流ケーブルが関与する高調波共振などの新たな系統課題と対応策について、東京電力ホールディングス・太田文彦氏から信頼性が高く効率的な電力輸送・融通ができる多端子直流送電システムと、その機能検証のためのシミュレーターによる系統解析の結果についてそれぞれ解説いただきました。
当日は多くの方々が参加され、各テーマとも活発に質疑応答が行われました。実証段階の生の情報も聞くことができ、大変充実した内容となりました。
第36回イブニングセミナー「系統の慣性低下対策」 (2022/06/27)
日 時:2022年6月27日(月) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テ ー マ :『系統の慣性低下対策 』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 教授
馬場 旬平
16:35~17:15 電力系統の慣性を把握する基盤技術の開発
東京電力ホールディングス(株) 経営技術戦略研究所 技術開発部
次世代電力インフラエリア 主任
草柳 儀隆 氏
17:15~17:55 慣性低下対策PCSの開発
東京電力ホールディングス(株) 経営技術戦略研究所 技術開発部
次世代電力インフラエリア 主任研究員
濱田 拓 氏
17:55~18:35 慣性低下対策等に関わる諸外国の動向
株式会社三菱総合研究所 経営イノベーション本部 シニアプロジェクトリーダー
入江 寛 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 528名
概 要
第36回APETイブニングセミナーのテーマは『系統の慣性低下対策』です。太陽光発電や風力発電などのインバータ電源(非同期電源)は、火力発電等のタービン発電機(同期電源)とは異なり、一般的に慣性力や同期化力を保有していません。慣性が大きく低下した状態の電力系統では、大規模な電源脱落が発生すると、系統の周波数を維持する力が不足していることから周波数が大きく低下し、その結果、連鎖的に他の電源も脱落して大規模停電に至るリスクが高まります。現在、世界中で再生可能エネルギーの導入が増加しており、既にいくつかの国では、我が国に先駆けて電力系統の慣性低下という課題が顕在化しています。そこで、今回は、NEDO事業「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発」の取り組みから得られた知見から、系統の慣性低下対策に関しての最新の技術動向について概観することといたしました。
東京電力ホールディングス・草柳氏からは電力系統の慣性を推定する手法を搭載した常時監視システムを開発し検証を行った成果を、同・濱田氏からは慣性低下対策PCSの開発成果を、三菱総合研究所・入江氏からは諸外国の慣性低下に関わる課題意識や対策等の動向を、それぞれご解説いただきました。500名を超える方々が参加し、各テーマとも非常に活発に質疑応答が行われ,今回のテーマへの関心の高さを垣間見ることができました。
第35回イブニングセミナー「エネルギーチェーン」 (2021/12/22)
日 時:2021年12月22日(火) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催
テ ー マ :『エネルギーチェン』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表
横山 明彦
16:35~17:15 エネルギーチェーンの概要とヒートポンプの役割
一般財団法人電力中央研究所 グリッドイノベーション研究本部 主任研究員
甲斐田 武延 氏
17:15~17:55 カーボンエネルギーの概念とエネルギーチェーンへの応用
一般財団法人電力中央研究所 グリッドイノベーション研究本部 上席研究員
山本 博巳 氏
17:55~18:35 APETエネルギービジョン検討会シナリオとエネルギーチェーン
一般財団法人電力中央研究所 グリッドイノベーション研究本部 上席研究員
坂東 茂 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 256名
概 要
第35回APETイブニングセミナーのテーマは『エネルギーチェーン』です。エネルギー資源の採掘からエネルギーの各種変換を経て需要家が享受するエネルギーの便益へ至るエネルギーの流れをエネルギーチェーンと呼びます。全世界的にカーボンニュートラルの取り組みが強く求められる昨今、エネルギー需給の在り方を俯瞰的に把握することは大変重要です。そこで、今回はエネルギーチェーンについてその最新状況を概観することといたしました。
今回は電力中央研究所から3人の講演者にご講演いただきました。甲斐田氏からはエネルギーチェーンの概要と、エネルギーチェーンの観点から見たヒートポンプの有効性およびヒートポンプの最新動向を、山本氏からはCO2排出量の直感的把握を助けるカーボンエネルギーの概念と、エネルギーチェーンへの応用例を、坂東氏からは10月25日に成果を報告したAPET2050年革新的超長期電力システムビジョン検討会で行ったシミュレーションの内容の解説と、エネルギーチェーンの視点で結果をとらえ直した場合の今後の課題について、それぞれご解説いただきました。
256名程の方々にご参加いただき,各テーマとも活発な質疑応答が行われ,エネルギーチェーンについて俯瞰できる良い機会となりました。
第34回イブニングセミナー「電力設備におけるスマートメンテナンス」 (2021/07/13)
日 時:2021年07月13日(火) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催 (Webex)
テ ー マ :『電力設備におけるスマートメンテナンス』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表 横山 明彦
16:35~17:15 スマートメンテナンスの技術開発・取組みの紹介
東芝エネルギーシステムズ株式会社 DX統括部 新規事業開発部 シニアマネジャー 辻 尚志 氏
17:15~17:55 関西電力送配電におけるスマート保安の取組みについて
~設備情報を用いた効率的な更新計画の策定、ドローン等の活用など~
関西電力送配電株式会社 工務部 工務グループ チーフマネジャー 木下 賢治 氏
17:55~18:35 AIを活用した送電鉄塔の「腐食劣化度診断システム」
開発・運用とスマートメンテナンスの取組み事例の紹介
SRA東北株式会社 ビジネス・ディベロップメント チーフディレクター 我妻 裕太 氏
東北電力ネットワーク株式会社 電力システム部(送電) 冨岡 敬史 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 323名
概 要
第34回APETイブニングセミナーのテーマは『電力設備におけるスマートメンテナンス』です。
わが国には、大量の社会インフラが整備されており、人々の日々の豊かで快適な生活を支えています。これらの社会インフラは、高度成長期から今日までの日本の発展に伴い拡充されてきましたが、その多くは建設されてからすでに長い年月を経ており、近年、老朽化の問題が顕在化しつつあります。他方、近年の出生率の低下に伴い、2011年以降、日本の人口は減少し続けており、今後の労働力不足も大きな社会的問題となっています。このような社会を取り巻く状況に対応しつつ、今後も持続可能な社会インフラの維持・運用を図るために、近年著しい発展を遂げているAI、ICT等の技術を活用する様々な技術開発が盛んになっています。そこで、今回は、電力設備におけるスマートメンテナンスの活用についてその最新状況を概観することといたしました。
東芝エネルギーシステムズの辻氏からは、スマートメンテナンスの技術開発と様々な取り組み事例を、関西電力送配電の木下氏、SRA東北の我妻氏、東北電力ネットワークの冨岡氏からは、経産省 第4回インフラメンテナンス大賞を受賞した事例を中心にスマートメンテナンスの取り組み事例について解説していただきました。
323名程の方々にご参加いただき,各テーマとも活発な質疑応答が行われ、電力設備におけるスマートメンテナンスについて俯瞰できる良い機会となりました。
第33回イブニングセミナー「水素を活用したエネルギーシステムの最新状況」 (2021/05/13)
日 時:2021年05月13日(木) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催(Webex)
テ ー マ :『水素を活用したエネルギーシステムの最新状況』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表 横山 明彦
16:35~17:15 国際水素サプライチェーンの実現に向けた取り組み
川崎重工業 水素戦略本部 技術総括部長 森本 勝哉 氏
17:15~17:55 水素サプライチェーンの国際実証の紹介
~有機ケミカルハイドライド法による海外水素の国内発電への利用実施~
千代田化工建設 フロンティアビジネス本部兼地球環境プロジェクト事業本部 安井 誠 氏
17:55~18:35 カーボンニュートラルに向けた需要の高度化
~CO2フリー水素利用と電化~
東京電力ホールディングス 技術統括室 プロデューサー 矢田部 隆志 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 355名
概 要
第33回APETイブニングセミナーのテーマは『水素を活用したエネルギーシステムの最新状況』です。
2020年10月26日に菅義偉内閣総理大臣が所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。続いて、12月25日には、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表し、カーボンニュートラルの取り組みにより新たな雇用と成長を生み出すために取り組む国の取り組みを明らかにしました。そこで、今回は、カーボンニュートラルに資する技術のひとつである水素活用の分野の最新動向について概観することといたしました。
川崎重工業の森本氏からは、豪州の褐炭を活用した現地での水素製造から国内への輸送までの国際水素サプライチェーンの国際実証から商用化までの取り組みについて解説していただきました。
千代田化工建設の安井氏からは、MCH-LOHC法を活用した国際間(ブルネイ-日本)水素サプライチェーンの国際実証と将来の水素サプライチェーン構築について解説していただきました。
東京電力ホールディングスの矢田部氏からは、カーボンニュートラルに向けた国内需要の電化・水素化(Power to Gas実証含む)の取組みについて解説していただきました。
355名程の方々にご参加いただき,各テーマとも活発な質疑応答が行われ、水素を活用したエネルギーシステムの最新状況について俯瞰できる良い機会となりました。
第32回イブニングセミナー「石炭火力発電の最新動向」 (2020/12/04)
日 時:2020年12月4日(金) 16:30~18:40
会 場:オンライン開催
テ ー マ 『石炭火力発電の最新動向』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表 横山 明彦
16:35~17:15 先進超々臨界圧火力発電の最新動向
一般社団法人高効率発電システム研究所 福田 雅文 氏
17:15~17:55 石炭ガス化複合発電IGCCの現状と将来展望
東京大学生産技術研究所 研究顧問 金子 祥三 氏
17:55~18:35 エネルギー政策における石炭火力発電について
経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課 電力供給室長
森本 将史 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参 加 者 177名
概 要
第32回APETイブニングセミナーのテーマは『石炭火力発電の最新動向』です。
経済産業省は7月初めに、石炭火力発電所のうち、1990年代前半までに設立した非効率な発電所を2030年度までに段階的に休廃止等をより実効的に進めていく方針の検討を発表しました。これは、国内にある約150基の石炭火力発電設備のうち、約7割が対象となってくるものと考えられます。一方で、超々臨界圧火力発電(USC)などの高効率な発電所は引き続き活用していくとしました。そこで、今回は、高効率石炭火力発電の現状と、非効率石炭火力発電フェードアウトを取り巻く議論等の石炭火力発電設備の最新動向について解説していただきました。
高効率発電システム研究所の福田氏からは、2008年に始まった先進超々臨界圧火力発電(以下、A-USC)プラントの要素技術から、次のステップであり現在進行中の、保守技術開発等を目的としたA-USC信頼性向上技術開発プロジェクトに至るまでの、A-USC開発について解説していただきました。
東京大学生産技術研究所の金子氏からは、火力発電技術開発の歴史、石炭のポテンシャルと世の中の誤解、困難を克服しながら世界の最先端を走りつづけている日本のIGCC技術開発とその将来等について解説していただきました。
資源エネルギー庁の森本氏からは、日本のエネルギー政策、石炭火力発電をめぐる動向、そして、非効率石炭火力のフェードアウトへ向けての取り組みと課題について、それぞれの背景から最新の状況までご解説いただきました。
177名程の方々にご参加いただき,各テーマとも活発な質疑応答も行われ、石炭火力発電の最新動向について俯瞰できる良い機会となりました。
第31回イブニングセミナー「電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発の最新状況」 (2020/09/23)
日時 2020年9月23日(水曜日) 16:30~18:40
会場 オンライン開催 ※URLはお申込み後にお知らせいたします。
テ ー マ 『電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発の最新状況』
プログラム (PDFはこちら)
16:30~16:35 開会ご挨拶
東京大学 先端電力エネルギー・環境技術教育研究アライアンス 代表 横山 明彦
16:35~16:50 「電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発」プロジェクトの概要
一般財団法人電力中央研究所 電力技術研究所 博士(工学) 足立 和郎 氏
16:50~17:20 大型発電機向け絶縁材料のナノコンポジット化による高耐電圧化開発
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 主管技師長 博士(工学) 武藤 浩隆 氏
17:20~18:05 傾斜機能材料とナノコンポジット材料によるガス開閉装置の小型化開発
富士電機株式会社 技術開発本部 先端技術研究所 博士(工学) 岡本 健次 氏
東芝エネルギーシステムズ株式会社 エネルギーシステム技術開発センター
送変電システム開発部エキスパート 保科 好一 氏
18:05~18:35 ナノコンポジット技術を用いた中小型発電機向けエナメル線の開発
住友精化株式会社 開発研究所 博士(理学) 藤本 信貴 氏
18:35~18:40 今後のご案内
参加者 90名
概 要
第31回APETイブニングセミナーのテーマは『電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発の最新状況』です。電力機器の省エネルギー性向上を主な目的として、「電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発」(2017~2021年度 NEDO助成事業)が現在実施されています。本プロジェクトでは、ナノフィーラー(NF)や傾斜機能材料(FGM)を用いた絶縁材料の高機能化による大型発電機、開閉装置、中小型発電機などの電力機器の高効率化・小型化を目指しています。今回は、このプロジェクトの概要と進捗について解説していただきました。
電力中央研究所の足立氏からは、電力機器における絶縁技術の概要と、「電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発」プロジェクトの概要について解説していただきました。
三菱電機の武藤氏からは、大型発電機向け絶縁材料のナノコンポジット化による高耐電圧化開発の現在の状況、今後の開発の方向について解説していただきました。
東芝エネルギーシステムズの保科氏からは、ガス絶縁開閉装置の小型化を図るための技術開発の一つとして、可変配合注型法を用いた絶縁スペーサの製造方法の開発について解説いただきました。
富士電機の岡本氏からは、開発された誘電率逆求解自動計算技術をご紹介いただき、同技術を活用し、可変配合注型法により製作した試作絶縁スペーサの評価結果について解説いただきました。
住友精化の藤本氏からは、ナノコンポジット技術を用いた中小型発電機向けエナメル線の開発状況と今後の計画について解説いただきました。
イブニングセミナーとして初めてのWeb開催でしたが、90名程の方々にご参加いただき,各テーマとも活発な質疑応答も行われ、電力機器用革新的機能性絶縁材料の技術開発の最新状況について俯瞰できる良い機会となりました。